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賢い贈与の活用で相続税の軽減に繋げましょう

2015.06.22

先月、国税庁が平成26年分の贈与税の申告状況について公表しました。それによると、贈与税の申告書を提出した人は51万9千人で、平成25年分(49万1千人)から2万8千人増加(+5.6%)しています。そのうち、申告納税額のあるもの(納税人員)は36万6千人で、平成25年分(33万人)から3万7千人増加(+11.1%)、申告納税額は2,803億円で、平成25年分(1,718億円)から1,084億円と大幅に増加(+63.1%)となりました。

これは、税制改正により今年1月1日の相続開始分から相続税の基礎控除が4割カットとなると同時に相続税率も一部上がることが分かっていましたので、相続税の軽減を目的として積極的に贈与する人が増えたのだろうと考えられます。この傾向は、今年以降も続くでしょう。

 

個人が個人から贈与を受けると通常は贈与税の課税対象となりますがが、例外的に贈与税が課税されない非課税財産もあります。また、特例により、一定の条件のもとに例外的に贈与税が課税されないケースもあります。これらを上手に使うことが、効果的な相続税の軽減対策に繋がります。

 

①贈与税の非課税財産

贈与税の非課税財産として代表的なものは、「扶養義務者から生活費や教育費として贈与を受けた財産」があります。このうち、教育費については次のような要件を満たす必要があります。

a.扶養義務者から受けた贈与であること

 扶養義務者とは、配偶者、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹などを指します。三親等内の親族で生計を一にする者も扶養義務者に含めて取り扱うこととなっていますが、配偶者、直系尊属、兄弟姉妹などは生計が一でなくても扶養義務者となります。

b.教育費に充てるために受けた贈与であること

 教育費とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費などをいい、義務教育費に限りません。

c.必要な都度、直接教育費に充てるために受けた贈与であること

 従って、贈与者が教育費のつもりで贈与した金銭を受贈者が単に預貯金したり、株式の買入代金もしくは不動産の買入代金に充当したりしたような場合は、贈与税は非課税とはなりません。

 

生活費に充てるために受けた贈与財産が贈与税非課税となるための要件についても、前記の教育費の場合と基本的な考え方は同じです。扶養義務者から生活費に充てるために受けた贈与財産のうち、通常必要と認められるもので、必要な都度、直接生活費に充てるためのものであれば贈与税の課税対象にはなりません。

 

なお、近年の税制改正で、直系尊属から教育資金や結婚・子育て資金や住宅取得等資金の一括贈与を受けた場合も一定の要件を満たせば贈与税を非課税とする制度が新設又は延長されました。詳細は当相続サポートニュースの第187号172号163号等にも記載していますので、ご参照ください。

 

②贈与税の配偶者控除

夫婦の間で、居住用不動産(自宅土地・家屋)又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円までを控除する(贈与税が課税されない)という特例です。この特例の要件は次の通り。

a.夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

b.配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

c.贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

 

本特例、大多数のケースは、現に住んでいる自宅の名義を夫から妻(又は妻から夫)へ変更する形で利用されています。ただし、贈与税は大きな非課税枠が使えるとはいえ、名義変更に伴って諸費用(登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬など)がかかり、しかもそれらの費用は相続により不動産を名義変更する場合と比べて高額となります。その点も十分に考慮した上で、本特例の活用の可否を判断する必要があります。

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筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター
代表取締役社長

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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