「相続税対策のために、生前にお墓を買いましょう。」という言葉をよく聞きませんか?これは墓地や墓石、仏壇などが相続税を考える上では非課税となることを利用しての節税方法です。今回のサポートニュースでは、お墓の購入についてお話していきたいと思います。
さて、早速ですが、生前にお墓を買うことのメリットを簡単に説明しておきましょう。
生前に被相続人の方が自分のお墓や仏壇を購入すれば、当然被相続人自身の財産からお金を出しますので、その分手元の現金が減る事になります。墓石や仏壇などの祭祀財産と言われるものは原則として相続税がかかりませんので、現金で持っていれば相続税がかかったであろう購入費用は非課税財産へと姿を変えるわけです。
一方、被相続人が亡くなった後に墓石や仏壇を購入しても、お葬式費用のように相続財産から差し引くことはできません。ですので、生前に購入していれば非課税となった現金部分に相続税が課せられることになります。
つまり、手持ちの現金を減らす、という点でお墓や仏壇の購入は有効となるわけです。
ただし、あくまでも生前に購入し、支払いまで済ませるというのがこの手法を利用する大前提です。ローンを組んで支払った場合などは、支払い途中で亡くなってしまっても残りのお金は債務控除できません。そうなると節税効果は薄れてしまいます。
また、節税効果を狙って金ピカで高級な仏壇や墓石を買った場合、「祭祀財産」と認められずに課税されるおそれもあります。仏壇や墓石が非課税となっているのは、それが先祖を敬うためのものとして「お金には換えられない財産」であるからです。社会的背景や慣習に対する配慮から非課税と認められていることを理解しておかなければなりません。
さて、余談ですが、生前からお墓を準備するということは古くから行なわれてきたことであり、生前に準備する墓のことを「寿陵」というのだとか。生前にお墓を建てることは「長寿」や「子孫繁栄」をもたらすと信じられていたのです。また生前から自分の冥福を祈り、墓石や位牌を調えておくというのは、仏教では功徳の高い行いだったと言われていたそうです。
最近の生前墓は「遺された家族に金銭的負担をかけないように」という意味で行なわれることが多いのでしょうが、「自分が亡くなった後のことをきちんと考える」ということの大切さは昔も今も変わらないのでしょうね。
近頃は「お墓」と一口に言っても、個性豊かなものが増えています。故人が生前に好きだったものをかたどったり、墓石に詩やメッセージを入れたりすることもできるようで、そのお墓を見ると故人の人柄が見えてくるような物もあります。お葬式についても、生前からプランを立てられる葬儀社が増えているようです。ビジネス化していると言ってしまえば身も蓋もありませんが、自分の想いや個性を表すことができると捉えると、とても良いことだと思います。
自分が亡くなった後のことを、元気なうちからきちんと考えておくというのは、遺された家族のためにもとても大切なことです。そこに、葬儀社や石材店の新たな取り組みが加わり、楽しみながら心構えをしていけるとすれば、なんだかとても素敵なことですよね。元気で毎日を楽しめる時にこそ、自分がどうしたいのか、家族にどうして欲しいのかを前向きに考えていく良い時期なのかもしれません。